私たちの研究室では、高齢者が罹患しやすい脳卒中、糖尿病 (主に神経合併症)の病態やアルツハイマー病における記憶障害などについて基礎的な研究を行っています。さらに、リハビリテーションや運動が、脳や末梢神経に及ぼす効果を多角的に検証しています。また、付属病院では神経内科として診療活動とともに臨床研究も行っています。
研究メンバー
- 河野 豊
- 石井 大典(作業療法学科准教授)
- 石山 すみれ
- 松下 明(付属病院講師)
経頭蓋磁気刺激(TMS)による誘発脳波〜高次脳機能障害診断への応用を目指して〜
キーワード:経頭蓋磁気刺激誘発脳波(TMS-evoked EEG)、高次脳機能障害
TMSによる誘発脳波は大脳皮質の反応性と大脳皮質間の統合性を反映する新しい生理学的指標として注目されています。私たちは、外傷性脳損傷による高次脳機能障害患者の診断や評価方法として、TMSによる誘発脳波(特に短潜時誘発脳波)が有用であると考えています。高次脳機能障害者では、頂点潜時の遅延や電位分布異常がみられ、これらは大脳皮質の反応性や皮質間の統合性の障害を反映する異常所見である可能性があります。今後、TMSによる短潜時誘発脳波が、びまん性軸索損傷の神経生理学的な検査手法として臨床応用することを目指し、研究を進めています。
(注)TMS(経頭蓋磁気刺激):頭皮状に置かれたコイルから大脳皮質を非侵襲的に安全に刺激する方法
(注) TMS誘発脳波(TMS-evoked EEG):TMSと同時に全頭型多チャンネル脳波計を用いて脳波を記録する。

TMS誘発脳波(TMS evoked EEG)