医科学センター

スポーツ・リハビリテーション学領域

階層

近年の健康志向の高まりとともにスポーツは今や私たちにとって欠かせないものとなりつつあります。また,高齢化社会や予防医学の観点からリハビリテーションという言葉は誰もしもが知るところでしょう。私たちの研究室では,スポーツ医科学(主に整形外科学,リハビリテーション医学,コーチング学)の領域から,健常者・障害者を問わず「競技力向上」や「安定的なパフォーマンスの発揮」および「スポーツ障害の予防」というテーマに関して,基礎的研究から臨床研究を含めて幅広く研究を行っています。また,リハビリテーション医療を必要とする方々の残存能力を最大限に引き出しながら早期回復を促進することで,ADLの改善とQOLの向上を実現するよう,臨床を大事にしながら実践的な研究を行っています。上記の研究活動と並行しながら,付属病院において整形外科,リハビリテーション科として診療活動を行っています。

研究メンバー

  • 六崎 裕高
  • 和田野 安良(本学名誉教授)

リン酸カルシウム複合化腱を使用した前十字靭帯再建術の効果

キーワード:リン酸カルシウム複合化腱,解剖学的2重束前十字靭帯再建術,ACL

膝の靭帯,特に前十字靭帯(ACL)損傷は,スポーツ中に起こる頻度の高い障害とされています.その損傷後の自然治癒は難しく,競技レベルの高い選手が競技復帰を望む場合,自らの体の組織(大腿屈筋腱など)を用いて再建手術をすることが一般的です.従来のACL再建術には,移植した腱と骨孔(骨に空けたあな)との固着に時間がかかるため手術後の初期段階に積極的なリハビリが行えない,などの問題点があると指摘されてきました.そこで,私たちは,そういった諸問題を克服するために,リン酸カルシウムを複合化した移植腱を骨孔内に固定するACL再建術を行い,移植腱と骨孔との固着のメカニズムを考察し,臨床応用における成績を検討しています。

リン酸カルシウム複合化腱を使用した前十字靭帯再建術の効果1

リン酸カルシウム複合化腱を使用した前十字靭帯再建術の効果2

リン酸カルシウム複合化腱を使用した前十字靭帯再建術の効果3

リン酸カルシウム複合化腱を使用した前十字靭帯再建術の効果4

ロボットスーツHALを用いたリハビリテーション前後での歩行分析

キーワード:Hybrid Assistive Limb(ロボットスーツ HAL),歩行分析,歩行速度,歩幅

ロボットスーツHALは,筋肉の動き(皮膚表面の電位変化)と,足底にある体重移動を感知する荷重センサーの情報を解析することで,歩行に合わせて股関節と膝関節の屈曲伸展運動をアシストすることのできる装着型動作支援ロボットです。リハビリテーションにロボットスーツHALを用いることで,歩行速度が速くなり歩幅が大きくなることが報告されています。歩行分析を行うことで,歩行中の股関節の動きが良くなり,体の前傾姿勢が無くなることが歩行速度や歩幅の改善につながっていることがわかりました。リハビリテーションにおいて装具やロボットの効果を評価することは重要であり,2次元,3次元での動作解析を行っています。

ロボットスーツHALロボットスーツHAL

HAL導入時の歩行周期の変化
HAL導入時の歩行周期の変化

障害者スポーツにおける競技力向上・発展・普及に関する研究

キーワード:車椅子バスケットボール,地域スポーツ,競技力向上,メディカルチェック ,パラリンピック

障害者スポーツには,個人のQOL向上や社会参加が可能となることなどの意義があるとされます。そのような意義あるスポーツに対する認知度を高め,参加者の増加に繋げるためには,国際大会において優秀な成績を収めることは非常に有効であると言えます。しかし,そのために必要な科学的視点からの検討は,健常者スポーツと比べた場合,障害者スポーツの花形である車椅子バスケットボールにおいてさえ絶対的に不足しています。中でも,競技力向上という立場からの研究や競技特性と障害発生のメカニズムおよび傷害・二次障害の予防方法などについてはほとんど検討されていません。そこで,私たちは,トップアスリートの育成・強化を図ることを目的に,4つの分野から包括的に研究を行っています。

また,茨城県における障害者スポーツの発展・普及に寄与することを目的に,県内において様々な調査・活動を展開しています(茨城県障害者スポーツ研究会)

研究体制

研究体制

競技歴とWUSPI平均得点との関係

競技歴とWUSPI平均得点との関係

いきいき茨城ゆめ国体2019のポスター

いきいき茨城ゆめ国体2019のポスター