学部・大学院・教員紹介

修了生のメッセージ

修了生のメッセージ

3期生 橋本裕子さん / 地方独立行政法人 埼玉県立病院機構 埼玉県立がんセンター

3期生 橋本裕子

私が勤務している埼玉県立がんセンターは、都道府県がん診療連携拠点病院として、専門的ながん医療を提供するとともに、都道府県内のがん診療の連携協力体制の整備やがんに関する相談支援情報の提供を担っています。

全国でも、がん専門病院の摂食・嚥下障害看護認定看護師の人数はあまり多くはありません。がんの患者さんは頭頸部がんや食道がん、肺がん、脳腫瘍など疾患や治療により食べることが困難になることがあります。特に頭頸部がんの患者さんは口腔や咽頭の腫瘍を切除し、大腿や腹部などから皮膚を移植する皮弁再建術を行うため、食べることに苦労することが多いです。

現在、私は頭頸部外科、口腔外科の病棟で勤務をしています。以前の認定看護師としての活動は、頭頸部外科の医師や他職種との連携が十分ではありませんでした。現在の病棟に異動してからの活動はとても充実し、嚥下障害のある患者さんにチームで関わることができるようになりました。摂食嚥下支援チームを立ち上げ、医師、言語聴覚士、歯科衛生士、認定看護師が一緒に嚥下機能評価を行い、嚥下訓練内容を検討しています。またこのチームの立ち上げによって、今まで行えていなかった摂食機能療法の算定もできるようになり、患者さんの嚥下訓練に病棟看護師の介入が増えました。

認定看護師としての活動を振り返り、コツコツと行ってきたことが実ったように感じています。多職種と連携し嚥下障害のある患者さんに関わり、がん看護の質の向上に携わることはとてもやりがいがあります。これからも私たちの活動で患者さんの「食べる」を支えていけるよう頑張っていきます。そして、一緒に考えることができる摂食・嚥下障害看護認定看護師の仲間がもっと増えるとうれしいです。

8期生 村上未来さん / 地方独立行政法人 東京都立病院機構 東京都立神経病院

8期生 村上未来

私が摂食・嚥下障害看護認定看護師を志望した背景には1人の患者さんの言葉がありました。私が勤めている病院は、神経筋疾患の専門病院で、神経難病の患者さんのQOL向上を目指した看護を行なっています。その中で担当した患者さんの1人が、「難病になり、いつか食べることはできなくなるかもしれない。でも、最期まで口から食べて生きたい」と私に話して下さいました。この言葉は私にとって、大きな衝撃でした。食事は人間の大きな欲求であり、楽しみです。しかし、誤嚥性肺炎や窒息のリスクが高い患者さんは、経口摂取の機会を奪われている現状もあります。最期まで口から食べたいと希望する患者さんに対し、どのような看護を実践すればよいのかわからない歯がゆさがありました。そのことがきっかけとなり、患者さんの『最期まで口から食べる』を支えることができる看護師になりたいと思い、認定看護師教育課程の受講を決意しました。

茨城県立医療大学、認定看護師教育課程で学んだ日々は、とても貴重な時間でした。その理由として、1つ目に摂食嚥下障害看護に関連する病態論やフィジカルアセスメント論、援助論を専門的な講師の先生方から学び、摂食嚥下障害をアセスメントする力が身に付いたことです。そのことで、患者さんの強みを理解し、口から食べる支援に繋げることができるようになったと考えます。2つ目に摂食嚥下障害を持つ患者さんを支えたいという同じ志を持つ同期生に出会うことができたことです。教育課程での生活は、同期生の仲間と助け合い、励まし合い、そして切磋琢磨した日々でした。教育課程を修了した現在は、活動する地域や場所は様々ですが、同期生の活躍は私自身の活力になっています。

現在は、神経筋疾患患者さんの摂食嚥下障害看護を実践しています。神経筋疾患患者の摂食嚥下障害は進行することが多く、誤嚥・低栄養・脱水から、さらに症状が悪化することがあります。口から食べる期間を長く保つためには、誤嚥・低栄養・脱水のリスクを回避し、摂食嚥下障害に対するアセスメントの結果から患者さんの強みを理解することが大切です。活動日を中心に、患者さんのラウンドを行い、食事の形態や姿勢、介助の方法を検討し誤嚥を予防する活動をしています。また、栄養サポートチームの活動を通して、低栄養や脱水の予防に努めています。患者さんの中には、ひと匙の嚥下を楽しむことを目的とした方もいます。ひと匙を安全に、味わって嚥下できたとき、摂食嚥下障害看護の道を志してよかったと感じます。これからも、認定看護師教育課程で学んだ知識技術を基盤とし、患者さんの強み活かし、『最期まで口から食べる』ことを支援できるよう活動していきたいと考えています。

12期生 根本祐介さん / 日本赤十字社水戸赤十字病院

12期生 根本祐介

現在私は内科病棟に所属し、週1回活動日として各病棟をラウンドしています。昨年より医師、摂食・嚥下障害認定看護師2名、言語聴覚士、薬剤師、管理栄養士で嚥下サポートチームを立ち上げました。患者の情報、嚥下評価と結果を踏まえ、食事介助、安全な内服、栄養管理の方法などを各専門職と協力しながら実践しています。また、学習会などを企画し病院スタッフの嚥下障害への知識や技術が高められるよう日々活動しています。

認定看護師の資格を取得したとはいえ、まだまだ学ぶことが多く、もっと良い看護があったのではないかなど日々、自分自身の知識や技術の足りなさに悩み、摂食嚥下障害看護の難しさを感じています。特に他病棟のスタッフに患者のことでお願いする際には負担にならないように、でも継続してやってもらうにはどうしたらよいのかなど、認定看護師になり自部署以外との関わりが増えたことで悩むことは正直、増えたと思います。その中でも教育課程で学んだことを活かし、自分自身の知識・技術の向上はもちろんですが、押し付けにならないよう、共に考えていけるような関わりを心がけています。大変なこともあるのですが、患者やその家族から「食べられるようになって良かった」「おいしかった」などの言葉をいただくと嬉しく、認定看護師になってよかったと思えます。 最近では、医師、他病棟スタッフからのコンサルテーションが増え、少しずつ活動が実を結んできたことを実感しています。また、他の領域の認定看護師とも患者様の食事、口腔ケアなどのことで相談や意見交換をすることもあり、摂食嚥下障害看護は本当に幅広く活動できるやりがいのある領域であると思います。

受験に至るまで自分が本当に認定看護師として活動できるのだろうかと悩みましたが、思い切って受験して良かったと今は思っています。1人でも多くの仲間が増えることは心強いことです。共に摂食嚥下障害看護を学んでいきましょう。

16期生 田中友希さん / 医療法人財団 明理会 春日部中央総合病院

認定修了生_田中

私は2023年に特定行為を含む摂食嚥下障害看護認定看護師B課程を修了しました。特定行為研修では、共通科目のほかに「栄養及び水分に係る薬剤投与関連」の区分を学習します。この区分の強みは高カロリー輸液を含む輸液の投与管理を理解し栄養・水分管理ができること、全身状態のアセスメントがきちんと行える能力が向上することだと考えます。

日本は高齢化の進行や疾病構造の変化に伴い、摂食嚥下障害が大きな問題となっています。私が勤める埼玉県春日部市においても高齢化率が全国平均を上回っている状況であり、摂食嚥下障害患者に寄り添えるケアを提供するために、所属施設では2024年に摂食嚥下サポートチームを立ち上げました。

実践を重ねると、摂食嚥下障害を抱える患者(または「患者さん」)は、加齢以外にも様々な疾患を抱えていることが多く、その病態や全身状態の把握を行うための病態判断力と臨床推論力の重要性を痛感します

また、摂食嚥下障害患者は、誤嚥性肺炎、窒息、脱水、低栄養といった、回避すべきリスクを常に抱えており、嚥下訓練を行う上でも、それらのリスクを包括的にアセスメントし、患者に不利益とならないような方法を選択することが必要です。B課程での学びは、このような看護の実践に活かされています。

実際に、摂食嚥下サポートチームの介入で、3ヶ月後に食事ができるまでに回復した事例を経験しました。この成果は、嚥下訓練や食事介助、口腔ケアを継続する病棟看護師、訓練をプログラムし実践するリハビリスタッフ、水分・栄養管理を行う管理栄養士、薬剤管理を行う薬剤師、そして患者自身の努力が結集したチーム医療の賜物です。専門職の協働がもたらす力や、人間の持つ回復力の可能性に感動しました。

認定看護師教育課程で学んだことは、私の看護において貴重な財産となっています。一生懸命学んだことは、必ず役に立つと実感していますし、それが患者を支える力となり、専門職のやりがいに繋がるのです。これからも患者の「食べたい」という想いに寄り添えるよう邁進していきたいです。

もし、今受験に悩んでいる方がいましたら、是非一歩を踏み出してみてください。不安も多いと思います。でも安心してください。そこには支えてくれる先生方、認定看護師の先輩方、同期の存在があります。一緒に研鑽できる新しい仲間が増えることを心待ちにしています。

 

IPUスワローズ 同窓会長挨拶

14期生 髙橋悠さん / 昭和医科大学藤が丘リハビリテーション病院

認定修了生_髙橋

すべての「いのち」は、食べることで繋がれている

こんにちは。私は14期生の髙橋悠です。

今回、認定教育課程同窓会「IPUスワローズ」の会長を務めさせて頂くことになりました。

私が摂食嚥下障害看護認定看護師を目指したきっかけは、臨床での疑問からでした。新人看護師として配属された脳神経外科病棟では、意識障害や認知機能障害などが原因で食べられない患者が多く入院されていましたが、食べる機能が回復しないままもともと食べることが大好きな私にとっては、なぜ食べることをやめさせてしまうのか、なにか食べる方法はないのか、と疑問を感じていました。

認定教育課程を卒業後、私は回復期リハビリテーション病院に勤め、自部署のみならず、NSTや摂食嚥下チームの方々と各部署を横断的に活動し、摂食嚥下障害のある患者への個別支援や、院内での研修講師などをとおして、スタッフの看護力向上にも貢献しております。もちろん立場としての責任はとても重く、重圧の中で苦しい経験もしました。しかし、認定教育課程を共に経験した同期や、同窓会の皆様との交流が、モチベーションの向上、活動へのエネルギーになり、認定看護師になってよかったと、心から感じることができます。日本全国に仲間がいるという安心感、その交流の重要性を身に染みて感じます。

私たちの同窓会の名称は、茨城県立医療大学(IPUHS)と嚥下(Swallowing)から生まれました。数多くの仲間たちとの交流、また未来の摂食嚥下障害看護認定看護師を支えるIPUスワローズ同窓会が今後も大きく発展できるよう、切磋琢磨し、活動していきたいと考えております。年々メンバーも増えております。是非、本学の認定看護師教育課程で学んでいただき、IPUスワローズ同窓会の仲間として、お会いできることを楽しみにしております。

  • 【ページID】P-228
  • 【更新日】2025年5月9日
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