IPEコース(Inter-Professional Education)

多職種連携教育コース

 現代の日本は,世界でも類をみない急速に進む少子高齢社会,疾病構造の変化や慢性疾患の増加等という過去に経験したことのない問題や,限りある人材,資源,財源等をいかに配分し効率的に活用していくかが問われています。同時に,人々の健康問題についてもグローバリゼーションの波を無視できない時代となり,地域で生じる具体的課題を解決するためにも国際的動向に常に目を向けていることが必要です。各保健医療職には,学識や技術を深めるとともに,多職種と連携し,協働することが求められています。
 そこで,このコースでは,学年毎に段階を追って多職種協働に関する学修を深めていきます。まずはじめに,仲間とのチームワーク作りです。そして徐々に現場の見学や実習,他大学との交流も取り入れ,チーム医療の本質を学びながら,4年間を通じて,多職種協働に必要な能力を養うことを目的としています。
 その内容は,①リアルな現場への参加②自分を超える,学科・大学の垣根を超える③継続して学ぶ,学生参加型のプログラムとなっています。4年間で,各自の専門的知識,技術,態度を身につけるとともに,多職種と連携し協働できる力を持った茨城県立医療大学卒業生として社会に羽ばたくことが期待されます。

茨城県立医療大学が目指す保健医療とは?

 各々の高い専門性を前提に,目的と情報を共有し,協働・連携・補完しあい,在宅,地域,福祉・医療機関において,人々の状況にあった最適で最高のチーム医療を提供することです。

カリキュラム構造

1年 「チームワーク入門実習(必修)」
 多職種協働の基礎を学修します。そのために,まずチームワークについてファシリテーションの手法(ワールド・カフェ等)を使い語り合います。次に,学科横断的なグループで本学の付属病院,各学科・センターの活動の実際をくまなく見学実習し,グループごとに成果をホワイトボード・ミーティングの手法を用い話し合い,互いに共有します。最後に,個々の学修成果をポートフォリオにまとめたり,全員での討論会を通じて,多職種協動のあり方について理解を深めます。
2年 「保健医療とチームワーク演習(必修)
 グループワークを通じて,多職種協働に関する知識及びコミュニケーションスキルを修得します。チームメンバーが互いに協力しながら,課題を分析,評価,討論し,論理的思考及び多彩な角度から多職種協働について考察するため,チーム基盤型学習(TBL:team-based l earning)を用います。さらに,大学を超えて多職種協働の知識と態度を養うため,筑波大学医学類学生との合同授業も行います。
4年 「チーム医療演習(必修)」
 14年次の学修の総括として,多職種協働の実際と応用を学修します。具体的には,最新の多職種協働の理論に基づき,学科横断的なグループワークを通して,各学科学生がそれぞれの専門領域の観点から,予め選定された事例についてのアセスメントや対応,そして多職種協働の実際を検討し,発表します。方法としては,チーム基盤型学習(TBL)を用います。さらに学生全員による討論を通じて,今後のより望ましい多職種協働のあり方について理解を深めます。
1~4年 「国際多職種協働実習(選択)」
 諸外国における多職種協働の実際を見学及び交流を通じて,国際的な視野を養い,かつ地域に根ざした専門職のあり方を学びます。特に異文化に触れることで,様々な価値観の中で多職種協働が構築される経緯を知ることができます。また,国際比較をすることを通じて,日本の現状を相対的にとらえ,利点の再発見とともに課題を見つけることができます。

 

                           図 1                       図 2 

茨城県立医療大学での多職種連携教育の沿革

  本学は開学以来3度のカリキュラム改革を行ない、間もなく4度目の改訂で第5次カリキュラムへの移行が予定されています。

 大学開設準備期以来、初代学長などの提案で本学教育の目標の一つとして「チーム医療」が強調されていました。それは現場での「チームアプローチ」の発想を教育に活かそうとするもので、目標として国内では先駆的なものだったと考えられます。しかしながらそれは、いくつかの「チーム医療教育関連科目」としてカリキュラムに取り入れられるに留まり、その後の第2次、第3次カリキュラムの改訂においても、チーム医療の内実を深める試みはなされましたが、なかなか学科・科目間の総合的な連携としての具体的な形とはなりませんでした。

 2011年に第4次カリキュラムが検討され始めるに至り、「チーム医療」を総合的な形で教育に反映させるべくIPEコース設置案が生まれました。これは本学の教員同士による教育ワークショップ(IPUミーティング「本学における臨床実践能力養成の在り方」)などでの検討や研究を経て、2013年開始の第4次カリキュラムにおけるIPEコースとして結実します。本学のIPEコースの特徴としては、4学科学生がIPEについて共通の学習目標を持つこと、4学科共通科目として1年次から4年次までの間で段階を追って学ぶこと、地域に根ざした学外の資源・人材を有効に活用すること、などが挙げられます。学習方法としては、4学科合同のミックスグループによる学び、および他大学医学系・医療系学生との合同演習、実習を含む参加型の授業、効果的なリフレクションなどを取り入れたものとなっています。

全体の構成としては図1、科目内容については図2をご参照ください。

 このIPEコースは2016年に完成年度を迎え、主要4科目については二つの学内プロジェクト研究「アクティブラーニングを促進するIPEプログラムの開発」、「IPWに向けたIPE」により、学習成果を評価しつつ継続されています。 

 第11回日本保健医療福祉連携教育学会学術集会の開催 

 2018812日、本学において日本保健医療福祉連携教育学会(Japan Association for Interprofessional Education)の第11回学術集会(JAIPE11)が開催されました。JAIPEは日本における多職種連携教育の草分け的学会の一つであり、本学が共催して学術集会を成功裡に終えることができたのは、とても名誉なことであると認識しております。

 JAIPE11のテーマは『地域包括ケア時代における連携教育と多職種協働実践 ~深める、広げる、役立てる多職種連携~』で、開会式に続き学術集会長講演『多職種協働の変遷と展望』(本学学長永田博司 当時)で幕を開けました。基調講演は西山賢一埼玉大学名誉教授による『地域包括ケアにおけるKnotworking』で、座長は酒井郁子千葉大学大学院教授・日本保健医療福祉連携教育学会副理事長がつとめられました。また並行してIPEIPWの二部にわたる口述発表とポスター発表が行われ、IPEワークショップの『学生・卒業生の立場からIPEを語ろう!』とIPWのワークショップ『地域を基盤としたIPEの可能性を探る パート4:地域包括ケアにおけるIPW 研修の資源と方法を開発するワークショップ』が開催されました。

 本学独自の特別企画『ロボットスーツHAL 展示・体験』および『障がい者スポーツ デモ&ミニ体験会』も同時に行われています。

 そして茂呂雄二筑波大学教授による特別講演『パフォーマンス心理学と協働実践の意味』があり、シンポジウム『在宅医療における多職種連携~地域でその人らしく生きるために~』と閉会式で幕を降ろしたのでした。

 

 

 

 

 

 

 

pagetop