聞かせて先輩‼IPUHS卒業生の過去、現在、未来

「オンライン座談会2021」

第3回(全4回)

学生×大学院生×卒業生

 2021年も、新型コロナウィルス感染症の問題により、日本全国の医療機関が危機的な状況に見舞われました。その中で、医療職の専門性がよりクローズアップされ、幅広い分野での活躍が紹介されていたかと思います。そこで今回、既に本学を卒業し、病院での一般的な業務ばかりでなく、さらにキャリアを積まれているエキスパートの先輩たちにご登場いただき、在校生にとっては未知の世界である「病院だけではないキャリア」について語っていただきました。

MENBERS
角 友起(司会)
理学療法学科卒業生
医科学センター准教授
壷井 美香さん
放射線技術科学科卒業生
キヤノンメディカルシステムズ(株)
安江 憲治さん
放射線技術科学科
大学院博士後期課程
看護学科
4年生
放射線技術科学科
1年生

 

■キャリア形成としての大学院進学
 
角(司会)

本学には、夜間開講の大学院が設置されています。学部卒業後に直接大学院に進学して専門性を深める方、あるいは就職をして臨床経験の中から得た疑問を持って大学院に進学される方もいらっしゃいます。では、大学院生である安江さんにお話を伺いたいと思います。

安江さん

私は大学を卒業して、すぐ大学院に進みました。修士課程は2年で修了して、さらに研究を続けたくて博士課程に進学しました。博士課程は3年間あって、今はその3年目です。論文を仕上げて審査を受けるところです。

角(司会)

大学院に進もうと思った動機は何だったのでしょうか?

安江さん

大学を卒業する段階で国家試験に合格すると診療放射線技師の資格が得られ、病院で働くことができます。私は4年生の時に、医学物理士として病院で働いてみたいと思うようになりました。そのためには、まずは大学院の修士課程を修了すること、その後2年間の臨床経験が必要だったので、大学院への進学を希望しました。

角(司会)

すると現在は、研究と臨床の両方を経験中なのでしょうか?

安江さん

はい。2年間の大学院修士課程修了後に医学物理士の筆記試験に合格し、今は大学院生として研究をしながら茨城県立中央病院で臨床経験を積んでいます。臨床経験の条件が満たされる次の4月からは、医学物理士としての勤務を希望しています。

学生(看護4年)

医学物理士というのは、具体的にどんな職種で、どんな役割があるのでしょうか?診療放射線技師とはどう違うのですか?私は看護学科の学生なので分かりやすく教えて下さい。

安江さん

簡単に言うと、医療目的で使われる放射線を適切に扱い、安全に管理する仕事です。医学物理士として働く方は、放射線治療に携わるケースが多いです。

学生(放射1年)

医学物理士を目指したきっかけは何でしたか?

安江さん

私の場合は3年時の臨床実習でした。臨床実習では、様々な検査あるいは治療の様子を見たり、機材に触れたりしますよね。

学生(放射1年)

レントゲン、MRICT等があると聞いています。

ご本人提供
※ご本人提供画像
安江さん

私は臨床実習を経験して、放射線によるがん治療に特に興味を持つようになりました。そして放射線治療に関わる専門職として医学物理士があり、その認定コースがこちらの大学の大学院にあったので、大学卒業後に就職ではなく大学院への進学を決めました。

角(司会)

医学物理士は診療放射線技師の資格に上積みされる資格なのでしょうか?

安江さん

違います。医学物理士になれるのは診療放射技術師だけではありません。物理学科や工学部といった医療系でない大学の出身でも、認定されている修士課程を出ていれば受験資格を得られます。病院の同僚も、理工系大学の出身者です。

学生(看護4年)

大学院というと、研究をするイメージくらいは漠然とあるのですが、修了までの過程を具体的に教えていただけますか?

安江さん

大学院に入ると、自分の研究テーマに沿って調査・実験をして、データを集め、分析した結果に基づいて自分の意見を論文に書くことになります。さらに、大学院では専門的な授業を受けられます。たとえば看護だと、専門看護師は大学院に行かないと取れない資格でしたよね?

学生(看護4年)

はい。がん看護や小児看護の専門看護師になるには、一定期間以上の実務経験に加えて、修士課程を修了する必要があります。

安江さん

修士課程の授業はより専門的で、講師陣も各分野のスペシャリストです。専門知識をじっくり教わり、自分の研究に反映させるのはもちろん、現場で働き始めて行き詰った時に、解決策や新しいアイディアを導き出すのに役立つという面もあると思います。

学生(看護4年)

大学院は研究だけでなく、さらに専門的な知識を学ぶ場なのですね。興味が湧きました。

学生(放射1年)

私は医学物理士に興味を持ちました。仮にこの資格取得をめざすとしたら大学院に行かなければならないので、大学院への進学についても考えていこうと思います。どの様なことを今から考える必要がありますか?

安江さん

大学に進学する際にも専攻分野を選びましたよね。それと同じように、大学院は自分の興味に従って専門分野を絞って行く場所となります。まだ1年生だと、自分の関心がどこにあるのか見つけ出すのはなかなか難しいですよね?

学生(放射1年)

正直、今は実感がありません。

安江さん

学部の授業や臨床実習を通して、自分が面白いと思えることが見つかるといいと思います。これは放射線の学生に限った話でなく、看護の学生だったら、がん看護に詳しくなりたいとか、小児看護を究めたいとかですかね。

角(司会)

学ぶ中で自分の興味の方向性を探っていくことになるでしょうね。

安江さん

人によって時期は違うでしょうが、自分の深めたい領域や深める必要のある領域がなんとなく出てくると思います。その時に大学院への進学を選択肢にしてもいいと思います。私自身は早い時期に大学院に進むことを考え始めましたが、必ずしも在学中に決める必要はないと思います。就職してから数年後に大学院に入る方も沢山おられます。

角(司会)

そうですね。本学では社会人が大学院で学ぶことに配慮して、授業は夜間に開講されています。また学びやすさを考えて、遠隔やオンデマンド形式の授業も採用しています。選択の幅が広いということを、在校生の皆さんにも知ってほしいと思います。

※ご本人提供画像

■新しいものを作り上げていくための研究と企業の協働
 
角(司会)

安江さんの大学院での研究テーマについて、われわれ素人にも分かるように教えていただけますか?

安江さん

肺がんの放射線治療をより正確に行うための研究を行っています。がんの放射線治療では、腫瘍がある部分に対してだけできるだけピンポイントで放射線を当てることが重要です。

角(司会)

非常に精密な作業かと思いますが、いかがでしょうか?

安江さん

そうです。しかし肺は呼吸に合わせて動くので、腫瘍の位置も焦点から外れてしまうという問題点があります。それで、動く腫瘍に対してどこまで正確に放射線を照射できるかというテーマを研究しています。

角(司会)

研究の成果を製品化していく時には、やはりメーカー側との共同作業が欠かせないでしょうね。そのあたり、壺井さんいかがでしょうか?

壷井さん

研究成果や臨床経験から得られた知見を踏まえて製品化されるケースは多くあります。

角(司会)

機器開発に関わる情報提供はどのような形でなされるのでしょうか?

壷井さん

様々な形でいただきます。何気ない雑談の中で伺った要望でも大変参考になることもありました。我々も学会に参加して情報を集めたりもします。共同研究という形で先生方と会議を重ねた上で、我々が試作機を作り、実際にご使用いただいた感想をもとに改善してから製品化する、といった流れで通常は進めています。 

つづく(次回は2月20日公開)

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