平成31年度 茨城県立医療大学入学式 学長式辞(平成31年4月3日)

 

 キャンパスの桜の花も喜びを誘うかのような春爛漫の日となりました。

 本日ここに、保健医療学部173名、助産学専攻科8名、そして大学院保健医療科学研究科 博士前期課程17名、博士後期課程8名の皆さんを迎えて、平成31年度の入学式を挙行することができ、大変うれしく思います。入学おめでとうございます。入学までの皆さんの努力に敬意を表するとともに、暖かい愛情を持って皆さんを支えてこられたご家族の方々をはじめ、関係する皆様にも心よりお祝い申し上げます。

 

 また、本日の入学式には、茨城県保健福祉部 部長 木庭 愛様、茨城県議会を代表して、県議会保健福祉医療委員会 副委員長 安藤真理子様をはじめ、ご来賓の皆様方のご臨席をいただき、深く感謝申し上げます。

 

 保健医療学部に入学された皆さんにとって、本日の入学式は、医療の道に通じる第一歩を踏み出す記念すべき日となるはずです。また、助産学専攻科や大学院に入学された皆さんは、それぞれの専門分野でのキャリアアップに対する決意を新たにしていることと思います。学部、専攻科、大学院、それぞれ大学で学ぶ期間は異なっていますが、皆さんにとって、これからの大学生活をいかに実りあるものにするかは、自分自身の意欲と熱意、そして能動的な行動にかかっています。このことに関して、皆さんに共通して私がお伝えしたいことをここで述べたいと思います。

 

 マサチューセッツ工科大学メディアラボのコンピュータ・サイエンスの教授であるミッチェル・レズニック博士は教育や学修に必要な要素を4つのPとして表現しています。

 

 ひとつ目のPは、プロジェクト(Project)、つまり目標や計画です。学部や専攻科では、専門職の資格を得ること、また、大学院においては、研究論文を完成させ、学位を取得することなど教育課程によって目的に違いがありますが、しっかりと、自身の目標を定めて、計画を立て、遂行していくことがまず必要です。漠然とした計画ではなく、今自分自身が教育課程のどの段階、どの位置にいるのか、あるいは大学院学生の場合、自分の研究がいま、どの段階に入り、これからどの道筋を進もうとしているのかを常に意識するという計画性の重要さを示しているPです。あたかも地図の上での自分自身の位置を常に意識して、進むべき道筋を確認していくかのような作業を継続することが重要です。

 

 二つ目のPは、ピア(Peer)、つまり仲間です。一緒に学ぶ上での悩みや苦労を分かち合う仲間は、みなさんにとって、一生にわたって大切な財産になるはずです。決して、孤立することなく、仲間と一緒になって目的を果たす道を歩んでください。臨床の現場では、他のスタッフとの連携や協働があって初めて医療がなりたちます。特に学部入学生の皆さんは本学が四つの学科から構成されているという特色を最大限に活かし、4年間、他の学科の学生との交流を通して、他者を理解し連携していく力を備えてください。

 

 三つ目のPはパッション(Passion)、つまり情熱です。教育課程を履修する中では、つい、学ぶこと自体が目的化して、自分の理想としたイメージや夢を見失い勝ちになるかもしれません。しかし、いつも自分自身が追い求めるものを意識し、情熱を持ち続けてください。

 

 四つ目のPは、プレイ(Play)です。もちろん単なる遊びという意味ではありません。広い視野を持ち、自身が能動的に何事にもチャレンジできる「ゆとり」、つまり、「こころの余裕」としてのプレイが必要という意味に理解したいと思います。

 

 レズニック博士が唱えるこれらの四つのPは、元来、教育のあり方について述べられたものですが、現在では、学習者にとっても重要であること、と理解されています。ぜひ、自分自身にとっての四つのPを意識し続けてください。

 

 学部入学生の皆さんは、これからの四年間で、目的とする医療専門職の資格を取得するために、さまざまな科目を学ぶことになります。と同時に、卒業までの間に広い視野を持って、社会人としての素養を身に着けていただきたいと思います。世界や地域への関心と問題意識を持つこと、そして、さまざまな文化や芸術に触れる知的好奇心を持つことも重要です。先程述べた四つのPの一つ、プレイ(Play)の意味には、そのような知的好奇心も含まれていると考えてもよいと思います。

 

 助産学専攻科の皆さんは、すでに看護師としての資格を持っています。その上で、より専門性を高めるために入学されたことに対して、改めて敬意を表したいと思います。これから迎える1年間の履修の中で、厳しい実習を乗り切るためには、仲間、ピア(Peer)の存在が極めて大切です。仲間とともに皆さんがもっているそれぞれの助産師像を大切にしつつ、夢を実現してください。

 

 大学院に入学された皆さんは、将来のキャリア像に向けて、本日ここに、一段と高いステップのスタートラインに立たれました。大学院は、研究を通じて、未知のものと遭遇する可能性を享受できる世界です。自らが抱いた疑問を研究に繋げ、パッションを持って、課題を解決するプロセスの醍醐味を経験してください。また、皆さんは、医療職としての勤務を維持しつつ、大学院で学ぼうとする方が多いかと思います。日中の勤務の後、夜間の大学院での学修や研究はハードですが、皆さんにとって学びやすい環境を提供できるように教職員挙げて応援したいと思います。

 

 本日、入学式を迎えられた全学合わせて206名の入学生のうち約50名の皆さんは、県外から入学されました。こころから歓迎いたします。茨城県は豊かな自然とそこで育まれた歴史と文化を有し、また、生活や勉学・研究の場として最適な環境です。茨城県の魅力を全身で体感しながら、地域でのさまざまな経験をしてください。

 

 あらためて入学生全員の皆様の学生生活が実り多いものになることを祈念して、私の式辞と致します。

 

平成31年4月3日

 

茨城県立医療大学長

永田 博司